SEM-ECCI法による転位観察
SEM-ECCI法による転位観察の概要
金属材料の変形や破壊のプロセスの本質的な理解には転位の状態を可視化することが重要です。
従来、金属材料中の転位の観察にはTEMが用いられてきましたが、近年ではSEMによる観察も可能となりました。
金属材料中の転位の可視化に対して、転位密度の定量評価はX線回折によって可能です。
SEM-ECCI法による転位観察の原理
結晶性試料をある特定の電子線の入射条件でSEM観察すると結晶からは均一な輝度が得られますが、
転位などの欠陥の周囲では歪により画像にコントラストの変化が生じます。
バルク状態で観察できるため、試料の薄膜加工が必要なTEMとは異なり前処理が容易です。
このコントラストを利用して転位の可視化を行う観察方法を ECCI法(Electron Channeling Contrast Imaging) と言います。
この観察方法の特徴
■バルク状態で観察できるため、試料の薄膜加工が必要なTEMとは異なり前処理が容易です。
■観察領域がTEMより広く取れるため、不均一組織の解析に有利です。
■EBSD法と組みわせて解析することで、不均一組織における結晶方位や結晶系との関係が分かります。
■XRDでは難しい転位が少ない試料でも観察が可能です。
測定事例
(1) ビッカース圧痕近傍のECC像(材質:SUS430)
(2) 与ひずみ量の異なる試料のECC像(材質:SUS316L)
XRDから求めた公称歪み - 転位密度