分析事例


 破損・疲労・劣化

分析試験事例紹介:不具合原因調査:J-03--SUS316製伝熱管の管板損傷調査--

1. 管板溶接ビード周辺に見られる割れ

 典型的な貫粒型応力腐食割れの特徴を有するミクロ組織が観察された。

管板損傷調査

2. 割れ破面のSEM写真

 割れ起点部は孔食を起点とする粒界型応力腐食割れ、割れ進展部は擬へき開状割れ破面が認められ、 貫粒型応力腐食割れである。
管板損傷調査
割れ起点近傍
管板損傷調査
割れ進展部

3. 付着ダストの分析と使用環境推定
 付着ダストの湿式化学成分から15%の塩素分、8〜9%の水分含有が判明。

 空気入口側が最も割れがはげしく、温度が高い部分では割れの発生なし。

4. 対策
 SUS316を使用する場合は、応力除去焼きなましによる残留応力の低減が必要。
 使用温度が100〜150℃と低いため、フェライト系ステンレス鋼の採用を検討。