前方散乱電子による半導体(GaN)の欠陥観察


 概要

 GaN などのパワー半導体において、原子レベルの欠陥は性能の劣化に影響を及ぼします。
 弊社ではSEM-ECCI法による後方散乱電子を用いた転位観察を実施可能ですが、 この度、新たにEBSD検出器を用いた前方散乱電子の評価により、転位に加えてステップ(微小な段差)や微小方位差を観察可能となりました。


 前方散乱電子とは

 SEMで反射電子像を観察する場合、一般的には後方散乱電子を用います。
 これに対し、EBSD付属の検出器によって前方散乱電子を用いた場合、従来と異なる像を取得できます。



 測定事例

 以下の試料を後方散乱電子、EBSD、前方散乱電子の3通りで評価しました。
 ・供試材:単結晶GaN(サファイア基板上にGaN を成膜したウェハ)
 ・面方位:C 面(0001)±0.5°
 ・GaN膜厚:4.5±0.5μm







後方散乱電子 EBSD GRODマップ
(方位のズレ分布)
前方散乱電子
点状に転位を確認 明瞭に確認出来ず 転位、縞状のステップ、僅かな結晶方位差によるコントラストを左手法より明瞭に確認可能

参考文献 G. Naresh-Kumar et al. Materials Science in Semiconductor Processing 55 (2016) 19–25.